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格下相手にホームでスコアレスドローに終わり、FIFAランキング首位の座を明け渡したこと、そして何よりも一部サポーターによる人種差別チャントが試合を汚したことへの失望と落胆が大きい。
アウェイで世界トップクラスのスペイン相手に、数的不利に陥りながらもクリーンシートで引き分けたことは、ワールドカップに向けた大きな自信と収穫となった。
ホームのスペインは、序盤からボールポゼッションで圧倒し、エジプトゴールに幾度となく迫った。ダニ・オルモ、フェラン・トーレスらが決定機を迎えるも、エジプトの守護神モスタファ・ショベイルが神がかり的なセーブを連発。特に後半に入ってからのスペインの猛攻は凄まじく、フェルミン・ロペスやボルハ・イグレシアスがゴールに迫るも、ショベイルの牙城を崩すことはできなかった。スペインは26本のシュートを放ち、期待得点(xG)も2.35を記録したが、最後までネットを揺らすことは叶わなかった。エジプトの堅守とGKショベイルの活躍が、スコアレスドローの最大の要因であったと言えるだろう。
格上スペインを相手に、エジプトは堅固な守備ブロックを形成し、カウンターアタックで活路を見出そうとした。前半にはオマル・マルムシュがポスト直撃のシュートを放つなど、あわや先制点という場面も作り出した。試合終盤の84分には、ハムディ・ファティが2枚目のイエローカードで退場処分となり、数的不利に陥る。しかし、エジプトはそこからさらに集中力を高め、スペインの猛攻を凌ぎ切った。アディショナルタイムにはアレハンドロ・グリマルドのフリーキックがクロスバーを叩くなど、紙一重の攻防が続いたが、最終的に0-0の引き分けで試合を終え、貴重な勝ち点1を手にした。
バルセロナのRCDEスタジアムで行われたこの親善試合は、ピッチ外の出来事が大きく注目される結果となった。一部のスペイン人サポーターがエジプト国歌にブーイングを浴びせ、さらに「跳ばない奴はムスリムだ」というイスラム教徒への差別的なチャントを繰り返したのだ。この行為に対し、スペイン代表のラミン・ヤマルやペドリといった選手、ルイス・デ・ラ・フエンテ監督、そしてスペインサッカー連盟(RFEF)が強く非難する声明を発表。RFEFは調査を開始し、スタジアムでは差別行為を止めるようアナウンスが流されたが、一部の観客からは口笛で抗議される事態に発展した。この醜聞は国際的なメディアでも報じられ、試合結果以上に大きな波紋を呼んでいる。
スペイン代表は、セルビア戦での快勝から一転、エジプト戦では決定力不足という長年の課題を露呈した。ルイス・デ・ラ・フエンテ監督は大幅なメンバー変更を試みたが、前半は機能不全に陥り、後半の交代策でようやくリズムを取り戻したものの、ゴールは遠かった。この結果、FIFAランキング首位の座をフランスに譲ることとなり、ファンからは内容と結果の両面で不満の声が上がっている。さらに、一部サポーターによる人種差別チャントは、チームのイメージを大きく損ね、今後の代表活動にも暗い影を落とすことだろう。一方、エジプト代表は、モハメド・サラー不在の中で、堅守速攻のスタイルを徹底。GKショベイルの活躍もあり、格上相手に粘り強く引き分けに持ち込んだことは、ホサム・ハサン監督も「ワールドカップに向けた良いテスト」と評価しており、チームの士気は高まっている。
この試合で最も大きな「熱狂」を生んだのは、残念ながらピッチ上のプレーではなかった。一部のスペイン人サポーターがエジプト国歌にブーイングし、「跳ばない奴はムスリムだ」というイスラム教徒への差別的なチャントを繰り返したことは、世界中で報じられ、大きな非難を浴びた。スペイン代表のラミン・ヤマル選手自身もイスラム教徒であり、このチャントに対し「無礼で容認できない」と強く抗議。ペドリ選手やデ・ラ・フエンテ監督も同様に非難の声を上げた。スペインサッカー連盟は調査を開始したが、この事件はサッカー界における差別問題の根深さを改めて浮き彫りにした。
スペインの猛攻をことごとく跳ね返したエジプトのGKモスタファ・ショベイルは、まさにこの試合のヒーローだった。スペインが26本ものシュートを放ち、決定機を量産する中、ショベイルは驚異的な反射神経とポジショニングでゴールを死守。特に後半、数的不利に陥ってからのスペインの波状攻撃を、彼は一人で食い止めたと言っても過言ではない。彼の活躍がなければ、エジプトがスコアレスドローで終えることは不可能だっただろう。このパフォーマンスは、ワールドカップ本大会での活躍を期待させるに十分なものであり、エジプトファンに大きな安堵と誇りをもたらした。
スペインは、ワールドカップ本大会に向けて、決定力不足の解消が喫緊の課題となる。ルイス・デ・ラ・フエンテ監督は、多様な攻撃オプションを模索し、選手間の連携を深める必要があるだろう。また、今回の人種差別チャント問題は、スペインサッカー界全体で真摯に向き合い、再発防止策を徹底することが求められる。一方、エジプトは、スペイン戦での堅守を自信に、ワールドカップでの躍進を目指す。モハメド・サラーの復帰と、ショベイルのような守備陣の安定が鍵となるだろう。両チームともに、今回の親善試合で得た課題と収穫を糧に、来る大舞台での成功を期す。
スペイン
エジプト